当クリニックの治療方針
アトピー性皮膚炎は長期の治療が必要になり、その原因もさまざまです。当クリニックでは、症状やその程度に応じて、患者さん一人一人に合った治療方法をご提案し、治療目標(ゴール)を目指します。具体的には患部に塗る薬は標準的なものを使用し、最初から強いお薬は使いません。定期的に来院いただき、なるべく早くステロイドの依存から抜け出すことができるよう、お子さんの身体の大きさと症状によってオーダーメイドで治療を行います。そして治療の効果が出始めると1回に塗る量は変えずに1週間に塗る日数を徐々に減らしていきます。また、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の部位は症状が見た目では出ていないことがあっても実際は皮膚にダメージがあることが多々あります。その場合は患部だけ治療をしていても、本当の意味で治癒にならないため、当クリニックではお子さんの症状に合わせて適切な薬や塗り方を指導しています。
治療の流れ
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- 治療方針の決定
- 患者さん一人一人に合った治療方法をご提案いたします。
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- 治療ゴールの設定(個別化)
- 症状に合った治療目標を設定します。
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- 中間チェック(ゴールの見直し)
- 症状を確認し、治療方法やゴールの見直しを行います。
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- 治療の現状の把握
- 治療の継続、場合によってはお薬を減らすなど現状に合う治療方法を常にご提案いたします。
アトピーの治療方法
アトピー性皮膚炎の治療方法は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子への対策」の3本柱です。
薬物療法
皮膚の炎症を抑えるために、主にステロイド外用薬を使用して治療を行います。ステロイド外用薬はその強さによってⅠ~Ⅴ群に分類され、年齢や部位、皮膚炎の重症度や応じて適切な強さを選択します。
スキンケア(保湿)
アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は、一見正常に見えても乾燥していることがほとんどです。炎症の再燃を予防する目的で、保湿剤を用いて継続的にスキンケアを行うことが推奨されています。1日2回保湿を行うとよいでしょう。
悪化因子への対策
汗、ストレス、ハウスダストやダニなど、アトピー性皮膚炎の原因は人それぞれです。ご自身の原因を見つけて理解し、取り除いてあげましょう。
治療の経過
アトピー性皮膚炎は、一般的には年齢とともに軽快していくといわれています。経過としては、8~9歳頃で50%、16歳には全体の約90%が自然寛解したとの報告もあります。ただし、重症の割合は年齢が高いほど増える傾向があり、軽快に至らなかったものがそのまま大人になって重症例として残っていることが考えられます。また近年では、思春期・成人期になっても軽快しない例や、成人発症例が増加していることが報告されています。
アトピーの治療目標
アトピー性皮膚炎では、次の状態になることを目標に治療を行います。
- 症状がないか、あっても日常生活に支障がなく、薬もあまり必要としない
- 症状が軽微または軽度で、急な悪化はまれで、悪化しても長引かない
ぐっすり眠りたい、勉強・仕事に集中したい、おしゃれを楽しみたいなど、より具体的な治療の目標(ゴール)を持つことも大切です。