便秘をほうっておくとどうなるの?
便秘を「たかが便秘」と簡単に考えてほうっておくと、お子さんの健康に深刻な影響を与える可能性があります。軽い便秘を治療せずそのままにしておくと、数年単位での長期間の便秘に繋がるケースもあります。排便習慣が作られないと、腸の働きが低下し、さらに便秘が悪化する悪循環に陥ります。
便秘を放置すると起こる悪循環
先ほどもご説明した通り、便秘は放置すると悪化しやすいです。お子さんが硬い便で肛門が裂けてしまうと、激しい痛みを経験します。この痛みから、次の排便を避けようとします。具体的な行動としては、排便を我慢するために足を組んだり、壁や家具につかまって耐えたり、トイレ以外の場所で隠れて排便しようとしたりするケースが見られます。これは、子どもなりの痛みから逃れようとする本能的な行動になります。しかし、排便を我慢し続けると、便意を感じにくくなってしまいます。便はそのまま大腸に残り、水分が吸収されてさらに硬くなります。そして、最終的には、非常に痛い排便を強いられることになり、ますます排便を我慢する悪循環に陥ってしまいます。
さらに、便秘でないお子さんは、直腸に便が溜まると便意を感じますが、慢性的な便秘のお子さんは、常に直腸に便が詰まった状態が続きます。この状態が続くと、腸が便意を感じにくくなり、便は腸内に長く留まり、ますます硬くなっていくという、もう一つの悪循環が生じます。
それによって、子どもの便秘は、「痛みによる排便回避」と「腸の感覚が鈍くなる」という二重の悪循環によって悪化していくのです。これは、痛みから逃れようとするお子さんの行動と、その行動によって引き起こされる生理的な変化が複雑に絡み合った結果です。この悪循環を脱するためには、早期の治療と、適切な食生活や生活習慣の改善が重要になります。
便秘が悪化すると発症する病気
便秘が悪化すると発症する病気のひとつに便塞栓があります。便塞栓とは便秘が長く続くことで直腸に大量の便がたまり、カチカチに固まってしまう症状を指します。便秘が悪化することで直腸に長く滞留する便の塊ができます。そうなると、小さいコロコロとした便や軟らかい便が、便塞栓の脇をすり抜けて漏れ出るようになり、実際は便秘なのに「下痢」と誤解され、見過ごされてしまいます。便塞栓が大きくなりすぎると、手術により便を砕いたりして出さなければならなくなることもあります。そうならないためにも便秘かな?と思ったら受診をするようにしてください。