アレルギー疾患について
人間には細菌やウイルスなどの外敵から体を守るための免疫機能が備わっていますが、その免疫が過剰に反応し、身体に不都合な症状を引き起こすことをアレルギーと言います。適切な診断と治療を行うことで、お子さんの生活の質を向上させることが可能です。反対に、誤った管理を続けると、時に入院が必要な重篤な状態になることもあります。
アレルギーにはいくつかの種類があり、子どもによく見られるものにはアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、花粉症などがあります。アトピー性皮膚炎の有病率は10-20%、食物アレルギーは5-10%(乳児期)、喘息は20%(乳児期)と、比較的多く見られる病気です。
ドロップスクリーン(アレルギー検査)
これらの症状が現れているのに気づかずに放置してしまうことがあり、その結果、症状が悪化することもあります。お子さんがどのアレルゲン(アレルギーの原因物質)に反応するかを事前に知っておくことで、早期に対策を講じることができます。最近の研究では、アトピー性皮膚炎において早期の適切な治療が症状の改善だけでなく、重症化の予防にもつながることが分かっています。
しかし、アレルギー検査は一般的に注射器を使用した血液検査が必要であり、子どもたちが怖がったり注射を嫌がることがあります。そのため、当クリニックでは「ドロップスクリーン」というアレルギー検査機器を導入しています。ドロップスクリーンは注射器を使わずに指先へ小さな針を刺し、痛みを最小限に抑えながらアレルギー検査を行うことができます。特に注射を嫌がるお子さんや注射の痛みが苦手なお子さんに適しています。また、ドロップスクリーンを使用することで、41種類のアレルゲンに対する検査を1回で行うことが可能です。
ドロップスクリーンの特徴
- 注射器を使わずに検査ができるため、お子さんにかかる負担が少ないです。
- 小さなお子さんも簡単に検査が可能です。
- 花粉症などのアレルギー疾患でお悩みの兄弟、両親もお子さんと一緒に受診することが可能です。
- 早ければ採血してから約50分で結果が出ます。(通常は翌日以降に結果説明)
- 食物アレルギーを含む41種類のアレルゲンについて検査が可能です。
- 検査費用は、京都市のお子さんは医療券で200円、大人の方で5,000円程度(保険3割負担)となります。
- 結果説明時には別途再診料などがかかります。
検査できる41種類のアレルゲン
検査の流れ
- WEB予約から一般診察枠で予約をお取りのうえご来院ください。
- 指先から採血し検査を行います。(注射器は使用せず、痛みは最小限で、1~2 滴の採血で検査が可能です!)
- 午前診療での採血の場合は、急げば同日午後に結果は出ますが、通常は翌日以降ご都合の良い時に結果説明させて頂いています。午後診療での採血の場合は翌日以降の結果説明になります。
- 測定器は1台の為、同時に2人の検査は出来ませんので、ドロップスクリーン検査をご希望の場合は必ず事前に枠を確保する必要がありますので、注意下さい。
- 採血後、検査結果が出るまで1名につき50分程度かかります。(パパやママもお子さんと一緒に採血を行った場合は、2名なら100分のお時間が必要です)
このような方にドロップスクリーンはおすすめ!
- アレルギー検査をしたいがお子さんが注射を嫌がる
- お子さんの喘息やアレルギー性鼻炎が心配
- 両親に喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の症状がありお子さんのアレルギー体質が心配な方
こんな場合はアレルギー検査が必要かも?
- 舌下免疫療法を考えている方
- 入園や入学前のアレルギーチェックをしたい方
- 毎年花粉症など特定の季節にくしゃみや鼻水、目のかゆみが出る方
- 咳や喘息が改善しない場合やじんましんの原因が不明なとき
- 原因の判らない湿疹が頻繁に出る方
- 皮膚が刺激に過敏で赤くなりやすい方
- ペットを飼いたいが、アレルギーが心配な方
- 家族にアレルギー体質の方がいるとき
- アレルギー検査を受けたことのない、お父さん、お母さん
- 花粉症でお悩みのパパやママ
これらの症状に心当たりのある方は、一度アレルギー検査を受けることをおすすめします。アレルギーの原因物質は多岐にわたり、症状も個人差が大きいため、気づかずに過ごしてしまうケースも少なくありません。当クリニックでは、注射を使わずに食物アレルギーを含む41種類のアレルゲンを検査できる「ドロップスクリーン」を導入しています。お子さんのアレルギーに関して心配な方は、ぜひ当クリニックにご相談ください。
問診
アレルギーの診断を進めるにあたって最も大切なのが問診です。これまでの病状がどのようなもので有ったかをお教えいただく事が、正確で迅速な診断に繋がりますので、ご協力ください。
具体的には、鼻汁や咳、じんましん、眼の充血、喘鳴などのアレルギーによる症状がどんな時、条件で起きやすいか、食べ物の摂取、時期、場所で起こりやすい状況があるかを注意深く問診することが、アレルギーの診断、原因検索のために最も重要です。
例えば、食物アレルギーの場合
①接種した食品名、種類、量、調理法、摂取した時の体調、時間帯、
②出現した症状、接種からの時間、とその様子
>>例えば限局性(口周囲など)/広範囲(全身性)の蕁麻疹や、下痢や嘔吐の消化器症状など
②購入したものでアレルギー症状が出現したと疑われるときには、摂取食品のパッケージなどもお持ちいただくと助かります。
血液検査・特異的IgE検査
アレルギーの血液検査ではアレルギー抗原(アレルゲン)に対する免疫グロブリンの内、アレルゲンに対して特異的に反応するIgEを測定します。ただ、血液検査はあくまで参考的であり、血液検査で正常でも実際はアレルギーがあることや、逆に異常でも実際はアレルギーがない場合もあります。原因検索で最も重要なのは問診です。血液検査の意義は、アレルギーの出現しやすさの目安にする事です。(IgEが高ければ高いほど少しのアレルゲンで症状が出現する場合が多いです)。乳児の場合は、陰性でも実際にはアレルギー症状が出る事もあります(偽陰性)。
食物経口負荷試験(食物アレルギー)
原因となる食物を極少量摂取し、症状の出現を確認します。これが最も確実な検査となります。
ただし、重篤な症状が出現する可能性も否定できないため、リスクについて十分ご理解いただいた上で実施する事になります。
食物経口負荷試験の目的は
①その食物に対してアレルギーがあるかどうかの判定、
②アレルギーで除去していた食物が、摂取できるようになったかどうかの確認、
ですが、当クリニックでは基本的にリスクの少ない症例をセレクトして実施するようにしています。
リスクが高いと考えられるお子さんは、連携病院に紹介させていただきます。